今作に置いての犯人

こういった女性ほど当時の時代においては沢山存在していたのかもしれません、女性だからといって社会的な身分に関係なく自由に振舞うことの出来る世界を求めてあがいていた姿をそのまま映し出した姿としては、時代の象徴的なものとしてみるとこの室田佐知子という存在はこの作品においては欠かすことのできないといえるのではないでしょうか。結果論から言うとこの作品における連続殺人犯は佐知子となっていますが、そんな犯行の理由にしてもそんな時代を生き抜いてきたからこそ抱える問題と立ち塞がってきたから排除していった、というところなのかもしれません。ではそんな佐知子が淡々と連続殺人をして行くことになったことを加えて、室田佐知子というキャラクターを特集していきましょう。

幼少期から通してみると

昔の日本人女性としての姿としては貞淑であることを第一に求められていたところがあります。また女性は決して男の意見に対して口出しをしないところも特徴といえるかもしれません。女性の社会的な地位が著しく低かったそんな時代のことを考えると現代社会における女性の立場は飛躍的に向上したものとなっています。まだまだ完全なものとはなっていないので、今でも女性の社会地位を挙げるための運動は日々行われています。ですが昭和初期時代、特に世界大戦中や大戦後などと比べてみると、女性としての一つの性別がいかに社会に参入できるような状況ではありませんでした。むしろ女性にとっては非常に息苦しい時代であった事に変わりはないと容易に考えられると思います。

そんな時代の中で必死にこれからの時代においては女だからといって社会的弱者として虐げられるのは真っ平だと、そんな風に佐知子は思うようになって行くのです。佐知子本人としては元々裕福な家柄でもなかったことも起因しているでしょう、また彼女には幼い弟も存在していたためにどうしても手っ取り早くお金を稼ぐということで売春婦をやることになります。売春をすることは昔の日本では全く規制している様子は無く、公然と行われていました。遊郭が存在していたことを考えればどれだけ身寄りの無い女性達の多くがこういった場所に流されて慰みものとして利用されていたことなんだろうと痛感します。明治時代になってから売春に関する公布がされる機会がありましたが、効力を発揮することなく遊女達はいまだに売春をすることを継続して行くことになります。

そんな遊女の存在が世間から厳しく取り締まることになるのは敗戦後の日本におけるGHQの参入によって本格的に廃止されることになります。そのような時代背景を元にして佐知子は友人だった久子とアメリカ人相手に売春を行っていました。しかしそんな時もで女性を慰みものとして扱う世間が許せないとして、いつか変えて見せると野心を見せるようになります。そう思っていた矢先に起こったのがGHQにおける売春婦の強制弾圧だったのです。敗戦直後だったこともあって売春を行っていた女性達は問答無用で連行されることになるが、その手が佐知子と久子にも押し寄せてくることになります。後一歩で捕まるかもしれないという状況の中、二人に救いの手を差し伸べたのはある日本人警官だったのです。その警官こそ、後に禎子の夫として、そして久子を愛人として扱うことになる憲一だったのです。

その恨みの業は深く

過去との決別を果たすようにして佐知子と久子はそれぞれ売春婦から足を洗うことに成功して、それぞれ違う道を歩むことになります。そこからの佐知子は自分がこの国が女性にとって住みやすい世界になるようにと動き始めます。その第一歩としてまずは室田儀作との結婚をすることで経済的にも社会的にもキチンとした身分を手に入れることになると、佐知子自身が国を変えるために政治家として道を歩もうと決めたのです。この時の佐知子としては非常に満足の行く暮らしをしていました。

そんなとある日、かつて自分たちを救ってくれた元警官だった憲一と期せずして再会することにないます。佐知子本人として望んでいたわけではありませんが、再び再会することになった憲一と話をすると、彼から一人の女性を預かって欲しいとつげてきたのだ。それだけならまだと良かったのですが、憲一が禎子との結婚を期にすべての清算しようとしていることをと告げた瞬間、女という存在を慰み者として扱っているような姿、そして自分だけ違う生き方をしようとしている憲一の姿を見て佐知子の中に殺意が芽生えてしまったのです。そうして憲一と共に訪れた崖に来ると、憲一を後ろから崖方突き落として殺害してしまうのです。

ここから佐知子の自分の過去を知られないようにするために、ひたすら憲一の関係者となっている人物を殺めていきます。そんな佐知子が殺していく姿から感じ取れる事は、己が願望を果たすために必要だった犠牲として見ていたのかもしれません。