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映画【ベル-ある伯爵令嬢の恋】のあらすじと感想

 

ベル-ある伯爵令嬢の恋のあらすじ

実話が元となったお話

この映画は実在する人物、ダイド・エリザベス・ベル(海軍士官ジョン・リンジー卿の混血の非嫡出子)が大叔父のウィリアム・ムレイ(マンスフィールド卿)とその妻に育てられた話です。
ベルの血筋は彼女にある程度の特権を与えてくれましたが、それでも彼女の肌の色のせいで社会的地位の伝統からとおざけられてしまいます。

愛する人を見つけられるのか探し求められる中で、彼女は理想家で変化を求める若い牧師の息子に恋をしました。
そして彼と二人でイングランドにおける奴隷制を終わらせる方向へ、マンスフィールド卿を導こうとします・・・。

この映画は、実在する人物、ダイド・エリザベス・ベルが主人公となっています。彼女の存在は長い間知られることはなく、歴史のスポットライトを浴びることはありませんでしたが、あるきっかけにより、彼女の存在が明らかになります。(ぜひそちらは本編で)

黒人が奴隷の時代

この映画をより深く見るために、知っておくべきことは、当時の時代背景です。
18世紀のイングランドでは、16世紀ごろからさかんになっていた奴隷貿易がまだ行われていました。
奴隷の多くは黒人でした。

2020年、アメリカで黒人男性が警官の拘束により死亡し、これに対しての大規模な抗議デモが起こったことは記憶に新しいと思います。
これも黒人が奴隷だったという時代背景があり、差別が今でも無くならないからです。(少なくともそう考えている人が多数いるということ。)

当時は、人が荷物のように売り買いされ、まるで物のように扱われていました。
そして、船に押し込められた黒人奴隷たちは他国へと出荷されていたのです。

多くの黒人奴隷がその船のなかで命を落としました。
ベルのように血筋のおかげで上流階級の仲間入りができたとしても、社会的な地位は実際にはそこまでありませんでした。

ベルが亡くなったのは1804年とされていて、奴隷制度を違法とした法律ができたのはその約30年後の話でした。
多くの白人からみると黒人や混血の人間というのは自分と同じではなく、召使などの下の存在だったのです。

この映画の魅力は、苦しい時代背景の中で、人間とはどう生きるべきかということをベルが教えてくれるところです。彼女は混血として社会的には苦しい状況で生まれますが、父親、叔父やその家族、周りの人間に恵まれて真っすぐと育ちます。しかし彼女の人生は簡単なものではありません。2020年に大きな流れとなった”Black Lives Matter"。その戦いの源流ははるか昔からあったわけです。ベルは世の中をすべて変える力を持っているわけではありませんが、彼女自信の人生をどう生きるべきか、自分はどんな人間であるかを模索し見つけようとします。そんな彼女のひたむきな心の姿に心を打たれます。

少しネタバレを含みます(?)

この映画のもう一つの魅力は、叔父のマンスフィールド卿だと私は思います。一見、黒人を差別し、頑固で伝統的なものに固執しているおじいちゃんのように見えますが、その実、ベルや家族のことを、心配し、心から愛しています。彼もまた、時代の流れや自分の地位に飲み込まれて、若き頃目指した野心家で変化を求める人間ではなくなってしまったんです。大人なら、共感するところがあると思います。しかし、人間とはどうあるべきか、そして彼の職業である法律家として、どうあるべきかという道筋を若いベルに考えさせら、変わっていきます。とても人間味があって、素敵な人物だと思いました。

歴史的な背景を知ると、ハッピーエンディングと手放しには言えないのですが、大きな一歩を踏み出したベルの幸せな姿に涙があふれてきます。

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